実験的オンライン読書会「三冊会議」の成功レポート

この四月から始めるオンライン読書会『彗星読書解放区』には、3つのクラスを用意しています。
・「彗星オンライン」クラス
・「三冊会議」クラス
・「解放区」クラス
このうち、「三冊会議」のテスト回を、4/26に実施しました。
おかげさまで満員となり、今までにない読書会体験を実現しました。

三冊会議とは?

私が個人的に本を読むにあたり、3という数字は特別な意味を持っています。
今読みたい本を3冊を手元に置き、1冊読んでいるうちに集中力が切れたら、別の一冊へ切り替える。こうすると、集中力を保つことができる。
それだけではなく、このローテーションをしているうちに、選んだ三冊が実は共通点を持っていたり、部分的に重なっていたり、全然違う性質を持っているからこそ新たなアイディアが生まれたりする、という経験を何度もしてきました。

それを、自分だけでなく参加者にも経験してもらおう、と思い、やってみたのが、この「三冊会議」。

オンライン読書会プログラム「三冊会議」の内容は、
司会である私と参加者が、一人ずつ、手元にある書籍を3冊用意し、簡単に紹介しながら、「その3冊を貫いているもの」を話す、というものです。
だいたいの人は、この「貫いているもの」を、共通点と考えて話してくれます。
でも、「貫いているもの」という表現自体が曖昧なので、答えも曖昧でいいのです。
2冊にしか共通点が見つからなかった、でもいい。
この1冊は、別の1冊の続きのように思える、でもいい。
全く見つからなかった、でもいい。
見つからなければ、他の人が探せばいいのです。

さて、許可をいただきましたので、今回お話しくださった3名(+私)の3冊をご紹介します。

・サン=テグジュペリ『人間の土地』
・堀江敏幸『おぱらばん』
・町田洋『惑星9の休日』

・宮部みゆき『ステップファザー・ステップ』
・森博嗣『探偵伯爵と僕 His name is Earl 』
・早見和真『スリーピング・ブッダ』

アーシュラ・K.ル=グウィン『ファンタジーと言葉』
・長野まゆみ『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』
・J.D.サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

・J.D.サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』
・宮沢賢治『春と修羅』
・サン=テグジュペリ『星の王子さま』

果たしてどれが私の3冊だったのでしょうか?(わかりやす……)

で、どんな繋がりがあったのか、というのは、微妙なニュアンスが重なって成立するところがあり、そこが今回の最大の魅力だったのですが、文字にまとめるには難しくて、今回は断念。いずれ音声配信の仕組みを作れるといいなと考えています。

実際にやってみると、これが、とても面白い。
自分が全く読まない本が何冊も出てきて、そこから得られるものが、他の参加者の言葉で圧縮されてこちらに届く。
これ、その場にいないと、ちょっと想像できない感覚です。

話している本人も、「貫いているもの」を探す段階で自分が持つ感想を明確にできたり、
話している最中に、あるいは他の人の話を聞いている最中に、さっき自分が話した内容とは違う見方が生まれたり。
脳を全力で使うワークショップ、という雰囲気でした。

たくさん上がった感想の中から、2つだけピックアップしますと……

・他の参加者の方が、3冊を選んだ本人より先に、繋がりに気付きやすいかも知れない。

・1冊だけ紹介されるより、3冊の繋がりを紹介される方が、その人の考え方や性格まで分かって、楽しいし安心できる。

これ、これです。その場にいると、頷ける。この通りです。
テスト回に来ていただいた方々には、非常に評判が良かったので、本格的に始めます。

EDITED BY

森大那

1993年東京都出身。作家・デザイナー。早稲田大学文化構想学部文藝ジャーナリズム論系卒業。2016年に文芸誌『新奇蹟』を創刊、2019年まで全11巻に小説・詩・批評を執筆。2018年にウェブサイト&プロジェクト『彗星読書倶楽部』を開始。2020年に合同会社彗星通商を設立。

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