ツイートまとめ202109

2021年9月のツイートまとめ

2021年9月のツイートをまとめました。

「正しく見るには2度見よ。美しく見るには1度しか見るな」 スイスの哲学者アミエルの言葉。 これ、庵野秀明と宮崎駿の違いを言い表してる言葉でもある。 庵野は好きなものを繰り返し見る前者、ハヤオは一度だけ見てその後全てを想像で補う後者で、ビデオばかり見る庵野をボロクソに言う。
なお私は美しいものは5回くらい見ます。

antihoneyさんが待望のカバーアルバムを発表。 Piano ManとStand By Meには心が溶けそうになり、Stranger In Moscowは彼女にしか出せない声で歌われ、Goodbye Yellow Brick Roadのアレンジには驚愕します。
まったくもう、この人のこの声は、歌うためにある声だとしか思えないな。

ずっと見たかった大西茅布展『How Was Chifu Made?』へ。 観る者を圧倒するサイズ感、目も眩む色彩の奔流、「顔」への執着……ここまでくると、網膜がうろたえ始めます。 ちょっとこれはもう、私の常識のキャパを超えるどころか叩き割る何かだ。 ご本人とお話しできたのはラッキーでした→
@lczf7n

8月22日、宮沢賢治に関する新事実が公表されました。 彼が三木露風に『春と修羅』を献本し、当時のフロントランナー詩人だった露風はその作風を褒める手紙を返信していました。 宮沢賢治と三木露風に接点があったなんて、今まで誰も予想していなかったことでしょう。 https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202108/0014613848.shtml

英語圏の読書系YouTuberを色々見てるんだけど、学生がすごく多くて、しかも紹介冊数が異様に速い。 で、この理由は、脳みそ空でもぐんぐん読み進められるタイプのファンタジーとかロマンスが主で、しかも物量的に&コメントからして、ほぼ読んでない。 でも企業のプロモーションはしてる。
で、あんまり退屈しない理由が、英語圏の書籍って、表紙デザインがとにかく楽しいのね。 いろんなグラフィックデザイナーがしのぎを削ってる。 日本は地味すぎて、この種の動画が面白くならない。
いやいや文句じゃありませんよこれは、脳みそ空で読めても、楽しければいいんですよ。 むしろ、日本のエンタメ小説は、もっとカバーを派手にすべきだよなあと。 文庫のカバーにイラストレーター使うだけじゃなくて、もっともっと色々可能性残ってるよねと。

曇りの日があんまり好きじゃありません。 上を見上げると、青空の日よりも、空に落ちそうな気がするんです。

私たちが、どれだけ人に読まれないとしても小説や詩を書いて発表したり、聴いてくれる人がいるのかも分からないのに音楽を作ったり、誰のためでもなくツイートし続けたりするのは、黙らないためです。 黙っていることに慣れると、叫ぶべきときに叫べないからですよ。

青空文庫で横書きになった宮沢賢治の『春と修羅』、すげえ面白いタイポグラフィになってる。 (のが未来派とダダイズムの影響だという話を明日のポッドキャストでします)

【配信】 文学作品を5~10分×5回で解説する音声番組を配信しています。 しばらくのあいだ、毎朝7時ごろ配信です。 宮沢賢治のあとは、安部公房や尾崎翠も取り上げます #11: 寂しさと光の詩人・宮沢賢治の詩 1/5 『春と修羅』「序」
https://t.co/B5dE6q5OQL?amp=1

私は読書家として、一貫して「名作主義」。 それは、時間の経過によって磨かれた価値観や価値基準を受け継ぐのが、私の役目だと思っているからです。 ↓
そこでようやく、「いまだ評価されざるもの」に光を当てることができます。 彗星ポッドキャストは、その実践です。

ゲーム産業の歴史を決定的に塗り替えた『ICO』が発売20周年を迎える。 私がプレイしたのは10代の真ん中。 この作品に「人間が2人でいること」の意味を人生で初めて教えられて、ヨルダの手を離すだけで恐ろしくなった。 このゲームに抱いた感情に、ほかのものでは出会っていない。 #ICO20thANNIVERSARY

・藪の中(芥川龍之介)
・箱男(安部公房)
・ドグラ・マグラ(夢野久作)
・去年マリエンバートで(ロブ=グリエ)
これら迷宮と呼び称されるフィクションは、別名「インテリホイホイ」と言います。

夏っぽいものを食べねばと思って、応急処置でたこ焼きとガツンとみかんを食べている……あ、でもこれで充分、夏かもね。 仕事はまだ続きます。

ポッドキャスト更新しました。 『春と修羅』が読みにくい日本語であるもうひとつの理由について話しました。 #13 寂しさと光の詩人・宮沢賢治の詩 3/5 花巻ミネラルルートと未来派
https://t.co/zCzCvBY3z1?amp=1

宮沢賢治の『春と修羅』は、1920年前半の前衛詩の技法を取り入れている詩集なので、読みにくくて当たり前なのです。 生命を青い電灯の人工的な光として描くセンスは、今の人にも新しい。 もちろんそんな予備知識はなくても、刺さる人にはすぐさま刺さる詩ですけれど!

うわ、朝の空気冷たい! 私の上着、いつのまにかレディースものが増えた。 体型からしてちょうどよくて、やけに似合ってるねとは言われるけど、婦人服なの?とは言われない。そういうもんか。 数日するとまた暑くなるらしいですね。

小林清志の次元大介、最後の最後まで聞き取りやすかったと思う。 2014年『次元大介の墓標』は小林清志の声を聴くための作品と言ってもよかった。 そして今日聴いた大塚明夫の次元は、声のたわみ方が小林清志だった。

Diorの香水『ミスディオール』新調合のEDPサンプルを頂きました。 Diorが大規模プロモーションする香水は賛否が分かれます。 ここまでローズとスズランが甘く、ラストノートでウッドが主張すると、私に普段使いはできませんが、 栞やブックカバーにつけると、嗅覚を巻き込んだ読書体験になりそう。

ド甘い香水と相性のいい小説ではないかも、デュラスの『モデラート・カンタービレ』。 デュラスが本気出した小説は、何気なくてもソリッドな終わりを迎えるし。 といいますか、ミスディオールにピッタリの小説は私の蔵書にはないっぽい気がする

栞に吹き付けたら、部屋が冬の朝の外気を濃縮したやうな香りに。 これを挟んで本を誰かにプレゼントすると……???

ポッドキャストを更新しました。 細野晴臣、大瀧詠一、松本隆が『春と修羅』に影響を受けていた……それは何故なのか? #14 寂しさと光の詩人・宮沢賢治の詩 4/5 ロックミュージシャンと『春と修羅』
https://t.co/okzMy5Y7nT?amp=1

母は幼い私に「雨ニモマケズ」を暗唱させて喜んでいたらしいですが、私は大嫌いでしたね あれは宮沢賢治が病床で手帳に書いたものです。しかも手帳の中でも一番読み取りやすく意味も分かりやすい文章だから注目されただけで、 煮詰めたコーヒーみたいに、彼の思想の悪いところが集約されています。
「雨ニモマケズ」が宮沢賢治の思想から外れてる訳じゃないんですよ。 ただ、どんな思想も、悪い方向へ枝を伸ばし得るものなのです。 夏目漱石も死にかけると、「則天去私」みたいなつまらんことをさも高尚なことのように言い始めてしましましたね。

ジェイムズ・ジョイスの翻訳で有名な柳瀬尚紀、早稲田時代を知ってる人によると「普段からダジャレばっかり言ってる男」だったとのこと。

なんと、『moon』の木村祥朗さんが、伝説的ホラーゲーム『Rule of Rose』について語っている!!! 「ただ楽しかったね〜」と貴重すぎる裏側が……

ポッドキャストを更新しました。 宮沢賢治篇、これにて完結です。 #14 寂しさと光の詩人・宮沢賢治の詩 5/5 「青森挽歌」 by 彗星ポッドキャスト 作家・森大那の文学講座
https://t.co/WfnU7PEtfk?amp=1
宮沢賢治について語った番組のエンディングテーマに、antihoneyさんの「ほしめぐりのうた」が使える喜びよ! きっと親和性の低いであろう私と宮沢賢治を繋いでくれたのはantihoneyさんです。

彗星ポッドキャスト、アメリカから聴いてくれている人が14%もいる。

図書館の「本日返却された本」は、人の関心が今どこにあるのかを探る、水溜りならぬ情報溜まり。 SNSでは分からない生々しい情報ログの現場。 ひとりひとりが意識的に選んだ本が集まって、結果的に小規模な集合的無意識が出来ている(てのは冗談だけど)。

この頃の私は「本の紹介」はやりたくない、と思っています。「紹介」程度で語れることには限界があって、読まない人は紹介しても読まない。 紹介より、「その本からどこまで思考を伸ばせるか」をその人なりにプレゼンするコンテンツにこそ、クリエイター性が宿るし、何より話を聞きたいと思うなあ。
これは「書評」ってやつにも言えることで、 書評は書き手に作家性がないと本当につまらない。 だから、「書評YouTuber」さんたちは「紹介」以上に行けず、哲学書を要約する系の動画は、解釈が分かれる問題に己の責任で「こっちを取る」と言えない。 クリエイターの思想性、いよいよ試される時期。

安部公房は私が生まれた年に死んだので、ごく最近の文学なんです。 小説は新潮文庫で大半が手に入るけど、新潮にはいい加減、文明論や対談も文庫で出して欲しい。 小松左京と安部公房の対談、日本には中央アジアの文化が大量に流れ込んでる等々、のっけからラストまでゾクゾクするほど面白いのだ。
かつて中央アジアを旅した公房。そこで彼が驚いたのが、 ・モスクに入る時手や耳を洗う ・ケンカに行くとき頭に鉢巻を巻く ・女性が着物のたもとで顔を隠す ・矢がすり模様はウズベクでも見られる ・そもそも身体的特徴が日本人と似ている やはり正倉院がシルクロードの終着地点ということですな。
日本人は大陸から逃げてきた臆病な集団だった、という説にまあ頷くとしても、ユーラシア大陸のカルチャーの終着駅だという見方の方は、もうちょっとハッキリ、共通認識として語られていい。 これはあの悪名高き「日本人論(英語でもこれで通じる)」が蛹から脱皮する唯一の道だと思いますよ。

「今の社会に必要なのは、地図ではなくコンパスだ」という考え方があります。 その通り。「最低限方向はこっちね」と言える状態がいい。逆に、「どうして今まで地図ばかり作ってたんだ?」の検証も、コンパス作りのために必須でしょう。地図偏重はいつから始まったのか。それは終われるのか。

私は人の信念が根底から変わるタイミング(=脱洗脳)に関心があるんですが、 「男の子の服に着替えたら行っても良い?」は胸に刺さる一言だな…… 「親が最もしてはいけないのは…」トランスジェンダーの娘への対応を悔やむスピーチに反響【動画】
https://t.co/esoOmw37XY?amp=1

ポッドキャストを更新しました。 箱生活をエンジョイする箱男の気持ち、わかる〜という(私みたいな)人、もう立派な箱男予備軍です。 #17:迷宮のごとき問題作 安部公房『箱男』2/5
https://t.co/jgaOyi9lMz?amp=1

詩人・吉増剛造さんのYouTube動画、すごいことになってる。 この人本当に82歳か???? こんな絶叫朗読、世界で誰もやってないでしょ……!
https://www.youtube.com/watch?v=b3aXjTHz8iQ

ついに行ってきてしまったぞ、 東京都現代美術館の横尾忠則展……! 知らない横尾忠則ばかりだった。 1歳の女の子が真剣に鑑賞してて……あれは、何かとても重要なものを受け取ったのだろうな。 コレクション展は予想を遥かに上回る面白さ。現代アートにしかできない、脳がゾクゾクする体験。

考える人、は、こういうゾッとするような孤独の中にいる。 だから見つけたら、隣に座りたいと思う。

出版業界が(いろんな意味で)危機的で、「紙の本はいずれ伝統工芸品の扱いに似てくる」という声も聞こえますが、 私は「書籍はコミュニケーションツールとして認知されるようになる」の確信を持っています。 英語圏でこの波が強くなっている。あとは日本に波を引き込む方法を、いくつ案出できるか。
大手出版社が無くなることは考えにくいけど、活動縮小は各社可能性大なので、編集者の流出は今後、従来より起こりうる。 すると、新しい出版社が増える時期がいずれどこかで訪れる。 そのタイミングに、読書の新しい潮流を産み出せる人が出ると、新しい生存戦略が生まれるかも。
読書系インフルエンサーが突然活動休止し戻ってこられない例を何件か見て思うのは、言いたいことが「みんな、読書しよう!」のひとつしかなくて、書物の宇宙の広大さに呑み込まれるからかもしれないな、と。 啓蒙と販促はカオスを増大させるので、ある時、自分の無力感に襲われる、これはあり得そう。
ではどうすればいいか? カオス増大の逆をやること、ですね。 大雑把だけど、個人&集団で、ある目的をもって本を読んで、ある種の思想を、新しく小規模に作る。 例えば、すぐに思いついただけの一例だけど、「ファンタジー創作に使える本をあつめて、決定版ブックガイドを作ろう!」をアマチュアが集まってやってみる、とか。
この話題、
・本はコミュニケーションツールになってゆく
・「おすすめのカオス」増大に逆行する
については、近くまとめて文章を発表します。

【スペース #読書会】 9/17 20時~21時 鯉実ちと紗さんとスペースで読者会を開催します!
@koimichitosa_sw
テーマは「人にはオススメしにくいマンガ、オススメしてください」。 リスナーの飛込み参加もちろん可能! これを機に、自分の本当に好きな漫画の性癖をぶちまけてください

みなさま、ご参加&お聴きいただきありがとうございました!
作品リスト:
今日マチ子『アノネ、』
岡崎京子『リバーズ・エッジ』
澤井啓夫『ボボボーボ・ボーボボ』
華倫変『カリクラ』
熊倉裕一『KING OF BANDIT JING』
にくまん子『恋煮込み愛つゆだく大盛り』
三島芳治『児玉まりあ文学集成』

仕事で神保町へ! 神保町〜お茶の水〜秋葉原のいつものルート。 (新たなスマホカメラを使ってるので、従来と比べるとバチバチに写真が重いな。)

その通り。創作者は作品に己の実存を賭けてはいけない。 で、この理屈は、日本の選挙の投票率が低い理由とパラレル。 投票に行かない人は、実は、投票券に自分の希望と実存の全てを賭けようとしている。 そして思い通りにならないことを恐れ、結果、投票しない。 創作も投票も気楽にやろうじゃないか。

銀座の大通りを修道女のようなブロンドの女性がママチャリで駆け抜けていった。

ついに、ルイーズ・グリュックの詩集『野生のアイリス』刊行! 2020年にノーベル文学賞を受賞しながらも邦訳が全くなかった彼女の代表作を、野中美峰さん
@PenguinBirdFish
が翻訳。 装丁も美しくて……ここ数年のKADOKAWAは攻めている。

ところで、角川はかつて、現代詩人全集、世界詩人全集などなど、詩にかなり力を入れていました。 (いまでも角川ソフィアで西東三鬼全俳句を出したりしてるけど) 海外の詩、もっと読まれて欲しい。
「小学生の頃、詩の読み方が間違っていると教師に言われて以来、詩も国語の授業も嫌いになった」とタクシー運転手が言う。 しかし話をよくよく聞くと、本当は詩が好きで、自分で書いたことさえあるという。 それを人に言わないできただけだった。 若松英輔のエッセイにそんな話がある。
本当は詩を読みたいという人、 詩というジャンルに親和性がある人、 沢山いるはずなんですよ。 現代の日本語の詩も、日本語に翻訳された詩も、ほぼ韻文じゃないから、敷居が高いわけじゃない。 Twitter上でも活発に読まれていいジャンルだよなあ
これ本当に、手に取らずにはいられないデザインなんですよね! フォントも漢字がハッキリとした線になっていて、訳文もまた、こなれた日本語なのに英語の透明感をたしかに保っている…… これからゆっくり読み込みます。
ルイーズ・グリュック『野生のアイリス』、初めと終わりの方だけを読んだけど、 どこかに、躁鬱病の人の感情の暴発の残り香みたいなものを感じる。 暴発のあと、平静を取り戻した頃に出てくる言葉ではと。 ヒリヒリした記憶を水路付けて制御するために言葉が選ばれてる、そんな手つきじゃないかな

【予告】 10月の #読書会、課題本は、こちらです。 雨穴『変な家』 YouTuber雨穴が公開した、ある家の間取り図に関する考察動画。 見事に100万回再生の大ヒット動画となったが、その後、あの家を知っているという人物からのメールが届き…… 日時は後ほど公開。楽しみですね。


【告知】 雨穴『変な家』のオンライン読書会を開催します。 この小説、皆さんはどう読みましたか……? 話題作を参加者同士で語り合い、より魅力を味わって見ましょう! 10月8日 20時〜21時30分 お申し込みは↓ https://suiseibookclub-20211008.peatix.com日本文学を、オリエンタリズムではなく、現代文学として。 ……にしても、津原泰水の「約束」「天使解体」はイタリア語になってるのか。その反応が気になる「日本再発見」イタリアで日本文学ブーム、人気はエンタメ小説 背景にあの70年代アニメの存在
https://t.co/LuNMzz8I2v?amp=1

昔、駆け出し漫画家の先輩(今や売れっ子)に「マンガは絵ですぐに伝わるから羨ましいです」と言ったら、 「わざわざ上手い絵を全ページ書かないと伝わらないから、君みたいな小説家が羨ましいよ」と言われた。 この隣の芝生感、お互いずっと意識するものなのだろうな。

映画を1本観ることに匹敵するのが長篇小説を1冊読むことだとすると、 音楽を1曲聴くことに相当するのは、詩を1篇読むことかな。 「詩の名曲」は生まれ続けているし、イントロやサビしか知らない詩だってたくさんあるし、詩集はアルバムだし。

スペースでお話しした提案の図式 (詳細は省いているので注意) #読書 要約すると、 本のおすすめという行為は、初心者にはとてもよい導きとなるけど、単なる口コミ宣伝の断片が増えるだけとも言え、その先がない(ちょっと興味を持たれて終わる)。 そこで、↓

ブックガイドに代表されるような、「ある分野・あるジャンル・ある文脈」のガイド=情報世界の地図を専門家が用意することで、 初心者は読書習慣をより高度にでき、 すでに本に親しんでいる向きにはそのまとまりを楽しんでもらえる。 購買意欲も読書意欲も高まる。
「現代社会では地図よりもコンパスが必要」という言説とは別問題で、「本の世界」にはそもそも「地図」が少なすぎて、ほとんどの一般読者には、大陸の大きさも国境も見えない。 「地図」がなるべくたくさん必要ではないか、という提案でした。
蛇足だけど、念のため。 松岡正剛の『千夜千冊』は、それ自体は面白くなくは無い。 けど、あれはかなり松岡の恣意的な繋げ方であって、1970年代の出版&文化事情への挑発的提言としての「編集」思想をOSとしてそのまま使っている。 あれはお手本にできない。
松岡正剛と工作舎には10代でとても世話になったけれど、彼ら独特の「知的遊び」は、定説に飽きたインテリ層にしか届かない。 そんなことをしているうちに、次の世代に従来の地図を渡し忘れた。 かと言って、地図を作る試みは、かなりクローズドにしか行われてこなかった。
誤解の余地が残らないように、詳しくは改めてサイトに記事を載せますので、お待ちくださいませ

読書会に限らず、私はフォロワーさんとお会いする機会が多くて、とても恵まれてるなと思ってます。 身の安全を考えれば、それができるTwitterユーザーは少ない。 これは逆に、お会いしてくださるフォロワーさんから信頼して頂いているということで、この信頼は私の中で財産と同じ扱いです。

風には形があると思っていて、それを人に話したら笑われたり呆然とされたりするんだけど(そんなこと考えてなんの意味があんの系反応)、 たぶん私は死ぬまで風に形があると思って生きていくと思うし、同じことを言っている人に出会ったら「ね!やっぱりそうだよね!」と即答する用意がある。

作品や登場人物に共感したいがために作品を見てしまうと、「作品が自分の経験を追認する」だけで終わるので、私はシンパシーというものをかなり疑ってます。 共感も理解もできないのに記憶に残ってしまい、自分の常識を変えてしまうものこそ「作品」であり、それと出会うことこそ「遭遇」でしょう。
「読書が経験を追認する」を繰り返すと、今まで生きてきて得た経験では理解がとうてい追いつかない「外側」と出会っても、反応できないままになる。 私が太宰治に良い評価を与えないのはこれが理由です。

中村文則『掏摸』が外国語に翻訳されてるのは合点がいきます。 事件の黒幕•木崎は、明らかに「運命」という概念のシンボルであって、スリという行為もどんな文化圏でも理解でき、読者が思い浮かべる映像がその地域でローカライズできる。 劇中の東京を上海やパリに置き換えても全然いける。

安部公房全集を読んでいて、ずーっと感じていたのが、「安部公房の最大の業績は、小説じゃなくて、エッセイや評論ではないか」ということでした。 世界理解の仕方がうまい。うますぎる。恐ろしい鋭さで世界が整理されていく。 そしてそれは小説では前景化していない。はー!

あまたいた詩人や思想家が言いたかった事というのは、実はたったひとつ、「私たちは、私たちが思うよりも自由なんだ」ということなのです(暴論だけど)。 が、この「私たちが思うより」を打破するのが難しいわけです。 その突破方法を集めるために生きてるようなものですね、私たち。

「他人との意思疎通レベルでしか、自分自身と対話することはできない」 というポール・ヴァレリーの言葉、何度読み返してもこの世の法則って感じがします。

今日は眠ってばかりいたので、秋葉原で珈琲飲みつつ、 「まだ奥へ、まだ奥へ」とランボーの詩集に踏み込んでいます。 ずば抜けた天才かつクソガキ、ってキャラ、ちょっと他には見かけない気がするなあ。

ようやく二人で会えるから時間が止まって欲しいのに、という気持ちを「ベイビー 銀の指輪で 12時の針に手錠をかけろ」と表現した森雪之丞のセンス、ヤバいな。(布袋寅泰『POISON』の歌詞)読書会は大学生の頃から続けてるけど、計算したら、延べ1000人にご参加頂いたことがわかりました。 これから、彗星読書倶楽部はこれまでとは違うスタイルに進化します。けれど、読書会は続くし、フォロワーさんたちとはより接する機会が増えることでしょう!

「本って、時間が経っても、ネット使えば中古で買えるでしょ?」 よく言われます。ええ、私もある時期までそう思ってました……。 が、見つからないんです、これが。 そもそも出版点数が多すぎて、発行部数が少ない本なんて、数年経つとオンラインでも見かけなくなる例が珍しくありません。

いわゆる名作・古典は「普遍的な内容を扱っている」と言われがちだけど、それは結果的にそう見えるだけ、というケースがほとんどです。 大抵の名作・古典は、従来のスタンダードに抗ったり、どんな時代にも読者の一歩先をいくことを言っているものです。
むしろ、どんな時代にも読者を獲得しているというのは、あらゆる時代で反時代性を発動してしまう内容ということなので、古典は穏やかな「おふくろの味」じゃなくて、「油断してたら思ったよりキツい香辛料」に近いんですよ。 この錯覚はかなりの人が持っている。

カルト的レアゲー『Rule of Rose』について、オニオンゲームズの木村社長が「薔薇のモチーフの着想源はスコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩『A red, red rose』」と証言。 そうか、『蛍の光』の原曲作詞をした人なんだ、この詩人全然知らなかった!

私の神回ポッドキャスト #ポッドキャストの日 #Anchor 文学作品の解説ポッドキャストをやっていますが、第10回で伝説的ミュージシャンのantihoneyさん@antihoney_O
にインタビューをした回は、もう圧倒的神回。 メディア露出のない彼女の貴重なトークが聞ける1時間です。
https://t.co/wlW7mAH1b9?amp=1

もっとantihoneyさんのことを知りたい方はこちら。インタビュー全文が読めます。
https://suisei-trade.com/membership.suisei-trade.com/antihoney-interview/
もっともっと知りたい方はこちら。註釈を加えたインタビュー完全版が読めます。 https://suiseibookclub.stores.jp/items/5f7c6ced

EDITED BY

森大那

1993年東京都出身。作家・デザイナー。早稲田大学文化構想学部文藝ジャーナリズム論系卒業。2016年に文芸誌『新奇蹟』を創刊、2019年まで全11巻に小説・詩・批評を執筆。2018年にウェブサイト&プロジェクト『彗星読書倶楽部』を開始。2020年に合同会社彗星通商を設立。

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