吉増剛造『詩とは何か』読書会

吉増剛造『詩とは何か』読書会 第1回レビュー

クラブメンバーシップ限定で、吉増剛造『詩とは何か』(講談社現代新書)読書会第1回を開催しました。
日本が誇る世界最先端の詩人、吉増剛造。
彼が新書という媒体で、自身がどのように詩を読んできたのかを語る本書には、新書なのに一筋縄ではいかない異様な魅力が満ちています。

メンバー専用Discordのボイスチャット機能で本の内容(今回は序文と第1章)について感想や疑問を語り合いながら発見を積み上げていくこの読書会、ただの読書会ではありません。
第1回と第2回の間に、参加者に詩を書いてもらい(ここは自由参加)、第2回ではその詩を参加者同士で読み合い語り合います。

もちろん、自分で詩を書く経験など、無い人がほとんどでしょう。
(私も、初めて詩を書いたのは、かつて3ヶ月に一回出版していた文芸誌『新奇蹟』に掲載する小説を書く時間がなく、追い込まれて書いたのがきっかけでした)
しかし、書いてみてようやくわかることもあるものです。
自分の手で書いてみると、本書の中に引用されている詩が、全く違ったものに感じられるかもしれません。

大切なのは、書くことに抵抗を感じないよう、主催者が場を作ることだと思います。
そこで参加者には、執筆作品に対する「ここが難点だ」「ここはこうした方がいい」という批判・代替案の提案を禁止することにし、作品はあくまで「変更の不可能なひとつの現場」と捉え、例えば「この意味は分からないがこのように読める」など、創造的な読解をしていただくこととしました。

第2回の開催日時は、
4月1日(土)の14:00~16:00。

参加者は、第1回で注目されたキーワード【読者の目を考えない・手紙・遅さ・時間・運命】のどれかひとつ(あるいは複数)を自由に使って詩を書いてください。
詩を提出する人は3/29までにDiscordに書いたアドレスまでお送りください。
3/30にPDFでひとつに統合し、Discord上で配布します。

この第2回が成功したら、第3回以降は参加者を一般公募する予定です。

『詩とは何か』読書会コメントログ

ここからは、読書会で挙がったコメントを、メモできた限り掲載します。

  • 詩を道という表現で表している
  • P6の5行目、「捕まえに行く」と考えることに驚き。
  • 詩は自由に書くものだと思っていた。しかし序文を読むにつれ、苦行だと思った。
  • 情報の可聴域が人によって違う。これは変えられるものだと思う。この本で変えていきたい。
  • P49、「ザルで水を掬う」話。ないと思っていたところにある、という考え方。
    いつも水を漏れなく掬えているのは危ないのでは? 掬いきれない部分もある。
    この話、一体どこに注目する? ザル? 漏れる水? 
    →自分は掬う対象全体。風呂であれば水全部。これは視点を多様化させる考え方ではないか。
  • なぜアーティストは負の側面を取り上げ正の方向作品化しないのか?
    負の方が他人と共有しやすいのでは?
    『ギルガメッシュ叙事詩』も強い主人公が失敗をして帰ってくる話だ。
    ゼロの状態はみんな経験している。80%や90%の状態にたどり着けるかどうかはその人次第だ。
  • 「苦しいことですよ」とはどんな意味だったのか? 言葉が出ないのか、出すぎるのか。ゴールを探しながら歩いていくことでは?
  • P26、遅さとは何か? 遅さが速さである例は? 
    遅いと自分のスポンジに染み込ませてゆくことができる。速いと染み込まない。
    染み込むように書くことが詩のよさでは。遅い魅力の歌声もある。
  • P36、エミリー・ディキンソンは読者の目を意識していなかった。
    では、詩人のゴールとはなんなのか? エミリーのゴールとは?
    内的世界と会話した結果では。
  • エミリーの手紙が爆弾とは、後から見つかるという時限爆弾という意味でもあったか。
  • 詩人ハリール・ジブラーンのように、エミリーは今の時代には受け入れられないと思って書いていたかも。

今後の発展

本書は曖昧な書き方がされている部分が多く、「ここはどういう意味だろう?」と思う部分が頻出します。
その部分をメンバーで知恵を出し合って考える時間は、実に楽しい時間でしたね。
今後も第3回・第4回と続け、本書の最後まで到達したいと考えています。

また、「(本書の中で重点的に語られていた)エミリー・ディキンソンの読書会をやってみたい」という声もあり、これも近々実現したいと思います。

詩を読む人口なんて、ごく限られているのかもしれません。
でも、文学の歴史の中でこれほど古く、多様な進化を遂げたジャンルも他にはありません。
詩は、読むのも、語るのも、そして書くのも、楽しいものです。

そして、小説や戯曲と違い、文脈が限られていないことが多い詩は、複数人が集まって語れば語るほど、新たな視点を創出することができます。
彗星読書倶楽部では、詩の読書会も重点的に開催して参ります。

なお、2022年の吉増剛造さんへのインタビュー映像を販売した際に購入者に配布していた、『詩とは何か』、詩集『Voix』の解説PDFを、クラブメンバー限定で配布します。
読書会や、吉増剛造関連本を読む際の手引きとしてお使いください。
配布ページはこちらから↓

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EDITED BY

森大那

1993年東京都出身。作家・デザイナー。早稲田大学文化構想学部文藝ジャーナリズム論系卒業。2016年に文芸誌『新奇蹟』を創刊、2019年まで全11巻に小説・詩・批評を執筆。2018年にウェブサイト&プロジェクト『彗星読書倶楽部』を開始。2020年に合同会社彗星通商を設立。

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