読書会に初参加しようか迷っている人へ、主催者が書けること

オンライン読書会を始めて以来、参加者のダイレクトな感想をいただく機会が一気に増えました。
毎度毎度、大変嬉しく思っています。

このサイトの読者には、
「ここに限らず、読書会というイベントに興味はある。でも自分が参加していいのかどうか分からない。」
そんな思いを持っている人もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、ここ3週間ほどで頂いた感想を反映させながら、読書会の主催者である私が、「興味はあるけどまだ参加したことがない」誰かへ向けて書けることを、思いつく限り書いてみます。

1、読書会では何が行われているのか?

本について語るために人が集まる場、それが読書会です。

大きく分けて、読書会には2タイプあります。
各自が持ち寄った本をその場で紹介する、いわば「紹介型」と、
ある課題作品(課題図書)を全員で読み(ほとんどの場合は事前に読んできて)、それについて語り合う「課題型」
この2種類です。

今はたくさんの読書会グループがありますが、前者の方が圧倒的多数を占めています。参加のハードルが低いし、司会者が進行させるのも簡単です。
自分が今まで興味を持たなかった本を楽しそうに語る参加者に耳を傾けていると、知らない世界に足を踏み入れたくなります。

一方、彗星読書倶楽部では、後者の課題型を採用しています。
ひとつの作品について多くの人が語ることで、予想のできない話題が生まれ、参加者は高い満足感が得られます。

課題型で何を話すのか、は、主催者の方針に左右されますが、彗星の場合はこんな感じ。
例えば1本の小説を扱うなら、最初からコメントをしてくれる参加者は少ないので、まず私が冒頭から順に内容を確認しながら、
「こんな場所、行ったことあります?」
「この光景、イメージするの難しくないですか?(それはなぜでしょうね?)」
「この一節が魅力的な理由って何だと思いますか?」
などなど、質問を投げかけていきます。

そのうちに、参加者から自由に感想が飛び出して、
「好きな箇所」
「わからない箇所」
「嫌いな箇所」
「疑問に思ったことがあるので他の参加者に訊いてみたい」
といったコメントで会話が続きます。

また、参加者同士、年齢や職業や趣味に共通点がなくても、同じ本を読んだ、という共通点で、会話が成立するのです。
それどころか、その共通点を基盤に、それぞれの立場の違いが、全く別の読み方をお互いに提示することにもなる。

彗星で課題型を採用しているのは、得られるものの多さが、紹介型に比べ段違いであるためです。

2、どんな人たちが参加者なのか

月に何冊も本を読破するような読書家ばかりが来ていて、自分は話について行けないのではないか。
そもそも知識の豊富な人たちばかりでは。

そんな風に想像する人も多いでしょう。
結論を言えば、彗星を含めどの読書会も、
「単に本が好き」というくらいの参加者が大半です。

もちろん中には、月・年単位で何十・何百冊読破を目標にしている人もいるでしょうし、ある分野で大学院を卒業した経歴を持つ人も当然います。
けれど、自分の知識量や得意分野を利用して、他の参加者をマウンティングするという話は、読書会界隈では聞いたことがありません。
(大学の授業になると、そういうシチュエーションはありますけれど。)

また、「新入りお断り」のポリシーを持つ読書会も、私は聞いたことがありません。
主催者は、一人でも多く参加者がいてくれた方が嬉しい、という心理を持っているので、「読書会は今回が初めて」と言った方が、むしろ喜ばれます。

3、主催者によって個性はどれくらい違う?

主催者の性格や話し方に違いがあるだけで、やることは、どこもそれほど変わりはしません。

私はいろいろな主催者と話してきましたが、
「これはこのように考えるべきだ」と、参加者の考え方を強引に固定化させるようなタイプの人とは、未だ出会った事がないです。
本を読むためには、それなりに認識の枠組みを柔軟にする必要がありますから、頷けることだと思います。

変わり種ではありますが、話し合うことに加えて、こだわりのお茶をいれる、本の交換をする、など、一工夫を加えているグループもあります。

主催者が女性か男性か、は、参加者側にとっては、重要な判断基準かもしれません。
参加者を女性に限定しているグループもあります。落ち着ける場所を作るための、配慮の方法のひとつですね。

リピーターが多い人気のグループに対しては、「リピーターの中でしか通じない話題もあるんじゃないの?」と想像できもしますが、ほとんどの主催者は、初参加の人が困らないよう、フラットな話題運びを心がけています。
もしそういう経験をしてしまったら、主催者の力不足です。離れた方がよいと思います。

4、オンライン読書会って、どんな感じ?

新型コロナウィルス蔓延による自粛で、多くの読書会がオンラインに移行しました。
もっとも評判のいい通信ツールは、Zoomです。
ほとんどのオンライン読書会がZoomを使っています。

同じ空間に集まる、あの楽しさは減ってしまいますが、
精神的な圧は、画面越しの方がやはり少ないですから、参加する側にとっては気軽に楽しめるはずです。

自宅で話す方が落ち着く、という人もいるでしょう。
そんな人には、オンライン読書会は、他人と本の話をする絶好の機会です。

彗星は、オンラインで彗星らしさが出せるのかな、他のグループと同じならやりたくないな、と、しばらく様子見していたのですが、結局やることにしました。
知恵を絞った結果、独自路線がかなり好評を博しています。

5、彗星読書倶楽部の特徴は?

「事前知識は必要ない」
「課題作品を読み切れずに参加してもいい」
「聞くだけ参加もOK、ハンドルネーム参加もOK」
「オンラインなら顔出し無しでもOK」
としています。
この敷居の低さを確保しつつ、当日の会話の質を必ず高くできるのが、彗星の特徴です。

参加者は、男女半々くらい、年齢はさまざまです。
もっとも、私自身が年齢を公表しているので、比較的、私に近い年齢の参加者が多くなる傾向にはあります。

「普段あまり本は読まないけれど楽しそうだった」
「難しそうな本だけど、他の人と一緒なら読めるかもしれないと思った」
そんな風に来てくださる方が多いです。
それでも、参加者全員がフラットな立場で会話を始められる工夫を随所に施しています。

リピーターさんも多いです。彗星でなら、他では味わえない知的体験ができる、と感じてくださる方が多いようです。
また、女性のリピーターさんが多い点については、「彗星でなら気分を害するようなことはないだろう」と信頼して頂いている証しだと思っています。それは、誰にも言わなかったけれど、そう感じてもらえるよう努力と工夫を重ねてきたので、その成果が表れているな、とも思います。

さいごに

初めて参加する人にとって、やはり重要なのは、一番最初に行った読書会で楽しいと思えることですよね。
彗星はその点、質の高さで自信がありますが、やはり自分の気質に合ったグループがいいはず。

読書会を探したい場合には、こちらのサイトが使えますし、

【読書会へ行こう!】読書会情報サービス ‐ 国内最大級の登録数

読書会情報サービス ‐ 国内最大級の登録数

SNSでそのグループの感想を探したり、主催者のプロフィールが充実しているグループがあれば、そこは参加申込がしやすいのではと思います。

ひとりで読むのがやはり読書の本質であると、私も思います。
読書会とは、自分の盲点に気づく驚きを味わったり、家や友人関係や職場では形成できないコミュニティの一員となるための、ひとつの手段として、今日、もっとも選びやすい選択肢なのではないでしょうか。

EDITED BY

森大那

1993年東京都出身。作家・デザイナー。早稲田大学文化構想学部文藝ジャーナリズム論系卒業。2016年に文芸誌『新奇蹟』を創刊、2019年まで全11巻に小説・詩・批評を執筆。2018年にウェブサイト&プロジェクト『彗星読書倶楽部』を開始。2020年に合同会社彗星通商を設立。

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