梶井基次郎「檸檬」

12・6手ぶら読書会レポート
梶井基次郎「檸檬」

梶井基次郎「檸檬」

管理人の本業が多忙のため更新が滞っておりますが、
Twitterでは告知しておりました通り、12月は管理人が人前に出る(or裏方で関わる)イベントが多数開催されました。

さてその中でも、書店『平井の本棚』における3週連続の読書会については、それぞれレポートを書かねばなるまい! と思いますので、3本連続投稿します。

[blogcard url=”https://hirai-shelf.tokyo/”]

3週連続!「手ぶら読書会」

彗星読書倶楽部の月イチ読書会、11月と12月はお休み。
そのかわりに、平井の本棚にて特別編を開催することに。
今回は、「手ぶら読書会」と銘打っております。

文字通り手ぶらで来場して参加できるのは、

・課題作品1篇だけを店頭で購入できる
・そしてそれを2Fのイベントスペースで読める
・知識ゼロでも問題ないように読書会をスタートする
・ハンドドリップ珈琲と焼き芋が提供される

が理由であります。

『文鳥文庫』とは?

今回は、文鳥社による、名作短篇小説が1篇だけ掲載されたレーベル『文鳥文庫』を使用。
普通の本の形式、つまり冊子=ダブルページではなく、1枚の長方形の紙が文庫サイズに折りたたまれています。
普段小説を読まない人にとって、小説を読むハードルを低くしてくれる、画期的な販売方法だと思います。

[blogcard url=”http://bunchosha.com/buncho_bunko”]

平井の本棚は1Fが書店、2Fがイベントスペースとなっていますが、
1Fでは、読書会で扱う作品を文鳥文庫でご用意。
参加費を1Fでお支払いいただく際、別料金(1作品¥150+税)で購入できます。

もちろん、ご自身がすでにお持ちの本を持ってきていただいても結構。

18:45~19:15が読書タイム、
19:15~20:30が読書会となります。
参加費は¥1,000(珈琲&焼き芋つき)

梶井基次郎「檸檬」

12月6日の課題作品は、梶井基次郎の「檸檬」

実は、管理人が「檸檬」で読書会をやるのは、これが3度目。
3回も使っているのは、実は単なる偶然なのですが、
その度に参加者がまったく違っているため、出てくる感想も毎回新しいものになります。
3回も参加者の感想を比較できるのは、主催者の特権ですな!

「檸檬」は青空文庫でも読めますし、いろんな出版社から文庫が出ておりますので、まだ読んだことがないという人も、手に取りやすい小説です。

会場での感想

当日は白熱して、時間を大幅に超過してしまうほどでした。

お話し頂いた感想を一部紹介しますと、

・作られた美観ではなく、意図せず成立した美しさを持つ街が魅力的に思える。

・「鉛筆を一本買う」のは自分も同じ。

・なぜレモンだったのか。特徴として、レモンには均一的な美しさがある。どれも同じ形と色。

管理人もふと思いつき、
「冒頭文が暗くない、むしろ真逆の表現だったら、作品の印象は違っていたのでしょうか? 例えば、『えたいの知れない幸福感が私の心を始終湧き立たせていた。』だったら?」
なんてコメントしてみました。
すると意外にも、
「そのほうが良い。実は主人公は元気なのでは。」
という反応もありました。

ところで、これはいつものことですが、管理人は、自分の読解をほとんど参加者の前で話しません。
「森さんはどう思われますか?」
と言われれば(そして時間が充分にあれば)、お話しようと決めているのですが。

そのかわり、近日中に、管理人の読解についてだけ書くブログを開設する予定です(今月中にできたら御の字ですが、どうだか)。

Reajoyの織さんにもレポートしてもらいました。

平井の本棚の月イチのお店番でもあり、読書系メディアサイト『Reajoy』のライターでもある織さんに、当日のレポートを書いていただきました。

[blogcard url=”https://reajoy.net/book-club/5629/”]

ウラ話も満載です。
読書会の主催者と参加者、両方の視点から感想を読むというのは楽しいですね……!

『手ぶら読書会』は、当初から、今まで読書会に参加したことのない人をターゲットにしてプロデュースしたものでした、織さんはズバリ、こう書いてくださっています。

自分にとっては大したことではない、とおもっている意見でも、他人にとっては大発見だったりするのです。

それは、読書会の最初に森さんがおっしゃっていたこと。

本当に、そうでした。

この読書会は、読書会に参加したことがない人にこそ、参加していただきたいと感じました。

こう思って頂けただけでも大成功なのですが、今回を機に、第二回・第三回と、リピーターになってくださる参加者も現れたのでした!

平井の本棚という現場で、本好きの輪が拡がっています。


梶井基次郎の本

[amazonjs asin=”B00E5XAU9O” locale=”JP” title=”梶井基次郎全集 全一巻 (ちくま文庫)”]

やはりオススメはこれ。厳密には梶井基次郎の文章すべてが網羅されているわけではありませんが、彼の表現を隅から隅まで味わうなら、全部入りでどうぞ。

[amazonjs asin=”4758435448″ locale=”JP” title=”檸檬 (280円文庫)”]

文庫とはいえ全集は色んな意味で重い、という向きには、ハルキ文庫の「280円文庫」。よく知られた5篇が掲載されています。
このレーベル、紙に鉛筆の黒鉛が乗りやすく、書き込むのが楽しいので、普段小説は読まないけど読み始めたい、という人には最適ですよ。

EDITED BY

森大那

1993年東京都出身。作家・デザイナー。早稲田大学文化構想学部文藝ジャーナリズム論系卒業。2016年に文芸誌『新奇蹟』を創刊、2019年まで全11巻に小説・詩・批評を執筆。2018年にウェブサイト&プロジェクト『彗星読書倶楽部』を開始。2020年に合同会社彗星通商を設立。

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